【釈正輪メルマガ6月18日号】日々是好日

【蓮華と仏教】

旧暦では、六月と十二月の晦日に「大祓」が行われました。一年の丁度半分の節目にあたる六月の「夏越の祓」では、半年間の罪や穢れを託した人形を祓い清めるとともに、残り半年の無病息災を祈念して「茅の輪くぐり」が行われます。
茅の輪とは、茅(ちがや)の草を束ねて作った輪のことで、日本神話に基づくとされています。新暦に移った現在でも、六月の中頃から末にかけて、全国各地の神社で夏越の祓が行われています。十二月の「年越の祓」のような派手さはありませんが、二つは対になる行事で、心身清らかに盆や新年を迎えるための大切な伝統行事です。

先週末から高千穂を中心とした、熊本から宮崎の神社を多数参拝して参りましたが、茅の輪くぐりの作法も神社によって様々でした。一般的には、「水無月の夏越の祓する人は、千歳の命延ぶといふなり」などと唱えながら、左回り、右回り、左回りのじゅんに三回、数字の8の字を描くようにくぐり抜けます。但し、輪をくぐる前には必ず一礼をお忘れなきよう。

合掌
思ふこと みなつきねとて 麻の葉を
切りに切りても 祓へつるかな

和泉式部

夏至が近づき夏が匂い立ち始める頃、薄桃色の蓮華が可憐に咲き始めます。蓮は仏教と深い因縁のある華です。阿弥陀仏の極楽浄土には、桜でも菊でもなく、清浄な蓮の華が咲いていると教典に説かれています。蓮の花の持つ五つの特徴になぞらえた教えが「蓮華の五徳」です。

蓮華の五徳とは、
一、淤泥不染(おでいふぜん)の徳
二、一茎一花(いっけいいっか)の徳
三、花果同時(かかどうじ)の徳
四、一花多果(いっかたか)の徳
五、中虚外直(ちゅうこげちょく)の徳

紙幅の都合で、全てを説明できませんので、今回は最初の「淤泥不染の徳」についてお話しいたします。汚泥とは泥沼のことです。蓮は高原陸地には咲かず、泥沼にしか花を開きません。しかもその花は、泥の汚れに染まらず(不染)、清浄な輝きを放っているのが特徴です。淤泥に例えられるのは娑婆(人間世界)のことです。つまり蓮の花は、煩悩故に四苦八苦に苦しむ人間世界の「心」に咲くのです。仏教は、人間の本質を克明にとらえ諭しています。それを「法鏡」といいます。真実の私の姿を映し出す鏡のことです。私たちの心から煩悩が消え去ることはありません。

しかし煩悩があるが故に、また私たちは「菩薩」にもなれるのです。仏教では「煩悩即菩提」といわれ、苦悩がそのまま歓喜となる不思議があるのです。
渋柿の渋がそのまま甘みになるように、煩悩(苦しみ)が功徳(幸せ)になるのです。

舎利弗、極楽国土には斜めに宝の池有り。
八功徳水其の中に充満せり
池の中に蓮華あり、大さ車輪の如し。
青き色には青きひかりあり、
黄なる色には黄なる光あり、
赤き色には赤き光あり、
白き色には白き光ありて、
微妙(みみょう)高潔なり。

仏説阿弥陀経

釈 正輪 拜

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