釈正輪講和会

歴史、伝統、文化をお伝えしながら皆さんの生活にお役に立てる様、学び活かしていける講話会を開催しています。

【釈正輪メルマガ5月14日号】日々是好日

【母の日】

たけのこが生えてくるこの時期に、竹笋生(たけのこしょうず)」という節気の言葉があります。
春から初夏にかけて、ひょっこりと頭を出しはじめるたけのこ。「雨後のたけのこ」ということばがあるように、この時期に雨が降るとつぎつぎに姿を現します。たけのこは一日に三十センチ近く伸びるといわれるほど生命力が強いのです。たけのこ掘りは大変ですが、けっこう楽しいものです。

合掌

筍や 総理に似たる 鄙の人(鄙=ひな。田舎)

凡茶

5月12日は令和になり初の「母の日」でした。母の日の由来は、1914年のアメリカ議会で、5月の第2日曜日を「母の日」と定め、国旗を掲げてお母さんに感謝の意を示す祝日としたのが母の日だそうで、それがそのまま日本に伝わりました。日本で最初に母の日のイベントが開催されたのは明治時代の末期頃だといわれます。

さて日頃わたしたちはどれだけ母や父に感謝をしているでしょうか。仏教の教えの中にも、父や母を大切にする意味のお経があります。仏説父母恩重難報経(ぶっせつ ぶも おんじゅう なんほう きょう)といわれますが、一般には『父母恩重経』といわれています。

このお経は儒教的な人倫の教えを説く偽経でしたが、ひたすら父母の恩に報いることが説かれているため、後に仏教の思想と融合したとのことです。このお経の中に、「臨生受苦の恩」なる教えがあります。これは、子供が生まれる時、母が大変な苦しみに耐えて産んでくださったご恩を忘れないように、という内容が説かれています。月満ちて陣痛が起こり、子供が生まれる時の苦しみは、青竹を握らせると、二つに押し割るほど激しいといいます。

男のわたしたちには絶対に分かりません。あぶら汗が流れ、全身がバラバラになるような痛みに耐えて、出産すると聞きます。まさに戦場に臨むような決死の覚悟が必要ですから、「陣」痛といわれるのですね。水戸黄門として有名な徳川光圀は、母の亡き後、自分の誕生日には最も粗末な食事をしていたといわれています。何故でしょうか。

もし光圀に尋ねてたら、きっとこう答えるでしょう。「なるほど、誕生日はこの世に生まれた祝う可き日であるかもしれない。しかし、この日こそ、自分が亡き母上を最も苦しめた日なのだ。それを思うと、珍味ずくめでお祝いする気にはどうしてもなれぬ。母上のご苦労を思えば、せめて一年中で、この日だけでも粗末な料理で母上のご恩を感謝したい」と。

私も両親を亡くした今、歳とともに日に日に父母に感謝の念が湧いてきます。私たちの誕生日は、生まれ難い人間に生まれられた大切な日ですが、同時に、母が激しい痛みに耐えてくれた日でもあります。
自分の誕生した時に母が受けた痛みと、そんなわが子を愛し、育んでくださったご恩が偲ばれます。

諸人よ 思い知れかし 己が身の
誕生の日は 母 菩薩の日

釈 正輪  九拜

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