【釈正輪メルマガ4月9日号】日々是好日

【仏さまとは】

「北帰行」という季のことばがあります。燕のように、春が来て日本に戻ってくる渡り鳥がいれば、日本を後にして北へ帰る渡り鳥もいます。その代表が雁(がん)です。冬の間、親しんだ鳥たちへの惜別の情だけでなく、列をなして北の空へと消えてゆく雁の姿に、日本人は古来もののあわれを感じとってきたようです。

そう言えば、昔こんなCMがありました。子供心に何となく好きでした。サントリー・ウイスキー「角瓶」の1973年に放映したテレビCMです。このCMは、雁にまつわる津軽地方の民話を題材にしたものらしく、哀愁を感じます。

(ナレーション)
「月の夜、雁は木の枝を口にくわえて北の国から渡ってくる。 飛び疲れると波間に枝を浮かべ、その上に止まって羽を休めるという。 そうやって津軽の浜までたどりつくと、いらなくなった枝を浜辺に落として、さらに南の空へと飛んでいく。

日本で冬を過ごした雁は、早春の頃再び津軽に戻ってきて、自分の枝をひろって北国へさっていく。 あとには生きて帰れなかった雁の数だけ枝が残る。 浜の人たちはその枝を集めて風呂をたき、不運な雁たちの供養をしたのだという。」
(山口瞳)
あわれな話だなあ。日本人て不思議だなあ。
夜の浜辺で、この枝で焚火をしながらウイスキーを飲むシーンでした。

花を盛りとする陽春の候に背を向けて、北へ帰えろうとする雁たちの鳴き声は悲哀の情を誘い、そのけなげな気持ちに心を寄せたのです。雁が旅立つ頃の曇り空を「鳥雲」といい、風のように聞こえる羽ばたきを「鳥風」というそうです。

合掌

雁(かり)帰る 黒服潮の しめり帯

金子兜太
日本の文化にも歴史にも「仏教」は、とても深く関わっています。日本人の意識や考え方の根底に、仏教が流れているといってもいいくらいです。

ところが、それほど日本に深く浸透している仏教なのに、最も基本的な言葉、「仏」の意味を間違っている人が非常に多いのです。これには私ども僧界に原因があります。僧侶自らが間違って認識しているが故に、日本人も間違って覚えるのも当たり前です。

亡くなった人のことを「仏」とか、「仏さん」というのを聞いたことがありませんか。「仏教」とは、「仏の教え」と書きます。もし、死人を「仏」というと、「死人が説いた教え」になってしまい、おかしなことになります。「仏」とは、「覚者(悟りし者)」の尊称です。

少し難しい話になりますが、仏教には五十二段の悟りがあり、その最後の五十二段めの最高の悟りを「仏」というのです。地球上で、「仏」の悟りを開き、人々を幸せに導いた人は、凡そ二千六百七十年前に、ネパール国(当時北インド地方)で活躍された『釈迦』しかありません。釈迦は、三十六歳の時に「仏」の悟りを開かれました。そして、八十歳で遷化(僧侶が亡くなること)されるまでの約四十四年間の教えを「仏教」というのです。

その釈迦の生誕日が四月八日(降誕会・花祭り)と呼ばれるもので、四月七日の日曜日に、大阪の自坊にて誕生祭を致しました。さて釈迦には多くの弟子たちがありました。弟子たちは、「この素晴らしい教えを、未来の人たちにも伝えたい」と、釈迦の説法を正確に記録しました。このようにして作成された釈迦の講演録が「お経」なのです。「経典」ともいわれます。私たちが、仏教を知ることができるのは、二千六百年の時の流れを経て、守り伝えられてきた経典があるからなのです。

釈 正輪 九拜

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