コケにされたと憤慨する前に

日本列島を縦断した台風が去りましたが、その猛威は各地で甚大な被害を残しました。今年の台風は何とも驚異的な勢力で、日本列島にその爪痕を残して行きました。気候の大変化に伴い、気象も想定外を覚悟しなければならなくなりました。
 
 さて台風一過、空気が澄み渡り、抜けるような秋晴れの青空は、何ともいえない心地よさです。北西から広がってくる移動性高気圧に覆われたとき、真っ青で爽やかな晴天になります。まさに「天高く馬肥ゆる秋」です。
 
 その一方で、九月下旬から十月半ばにかけて、秋雨前線によって梅雨に似た、じめじめした冷たい雨が降り続くことがあります。これを「秋雨」や「秋霖」といいます。「一雨一度」の言葉通り、雨が降る毎に気温が下がり、秋が深まっていきます。秋の空模様は気ままで、それを喩えて「女心と秋の空」などといったりします。
 
 しかしもともとは「男心と秋の空」だったとか。この言葉の意味は、男が女性に対する愛情が変わりやすいため、女が揶揄した言葉のようでした。そういえば『男心と秋の空(作詞:作曲 鬼龍院翔)』ゴールデンボンバーが歌っていましたね。
 
          合掌
 
 「コケにする」と言う言葉があります。人を小馬鹿にするという意味で使われています。最近のネット上でもこんな使い方を見掛けます。問題の学校法人との交渉記録を意図的に廃棄していた財務省に、「有権者はコケにされた」。世界が注目する米朝交渉で、北朝鮮に「コケにされてはたまらない」と米国大統領の発言。何かにつけ、「コケにした」「コケにされた」と一喜一憂しているのが私たちです。
 
 さて、そもそも「コケ」とはどんな漢字を書くのでしょうか。周囲に聞いてみると、首をかしげながら、「え~、あの湿った所に生えている苔?」と答える人の多いこと。そんなことを言ってるあなた。チコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねえよ!(NHK総合)」と叱られてしまいますよ。
 
 正解は、「虚仮」です。虚仮は仏教の言葉で、「虚」は偽り、「仮」は実態の伴わないことですから、虚仮とは真実でないことを表す言葉なのです。親鸞が、「日本のお釈迦さま」と尊敬なされた「聖徳太子」は、「世間虚仮、唯仏是真(世の中のことは、嘘偽りばかりで、皆、移ろいで消えていく。ただ仏の教えのみ、まことの幸せに導いてくださる真実なのだ)」と言われています。何気なく使っている「コケ」も、味わうと人生観が一変します。親鸞は、「虚仮不実の我が身」と言っています。「コケにされた」と憤慨する前にまず、我が身を振り返りたいものです。
 
          釈 正輪 拜

開催時の様子を動画で紹介

2019年1月16日「価値観の多様性」

2019年1月16日「改めて思う仏教の大切さ」

2019年1月16日「人というのは何者なのか?」

2018年8月9日「私という人間を認めてくださる方に出会うか否か」

2018年8月9日「お坊さんの役割」

2018年8月9日「歴史にはいろんな考え方がある」

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