日々是好日(191)

日々是好日(191)

【釈正輪メルマガ11月4日号】日々是好日

(2014/11/4配信)

【仏教はありのままを映す鏡】
 
 山粧う(やまよそお)ころとなりました。これは秋の山が紅葉する様子を表しています。
 
 春の山の爽やかな初々しさは「山笑う」、夏の山の青々とした風景を「山滴る」、冬の山の枯れた寂しさは「山眠る」と表現しますが、日本人の感性はとても泰(ゆたか)なんですね。
「楓蔦(もみじつた)黄なり」という候の言葉がありますが、これは草木が黄や紅に染まることを言うそうです。
 
 ところで昨日発表された今年の商品(グッズ)の1位は、映画『アナと雪の女王』のもので、子供から大人までと、幅広い人気でした。「ありのままの姿みせるのよ。ありのままの自分になるの。」と高らかに歌うヒロインの劇中歌に人々は多くの共感をおぼえました。それは今の私は本当の自分じゃない。と感じている人が多いからではないかと思います。
 
 私たちは「他人からどう見られているか」と常に気を遣い、朝から晩まで神経を擦り減らしてはいないでしょうか。それにより人は幾つもの仮面をつけて生きている、と言われます。そして常に仮面をつけて”いい人”を演じ続けているうちにどれが本当の自分なのか分からなくなってしまいます。一体、ありのままの自分とは、何者なのでしょう。
 
 ありのままの私と聞くと、それは自分がいちばんよく知っていると思いがちですが、本当は最も分からないのが自分自身なのです。
「汝自身を知れ」この言葉は古代ギリシャの哲学思想でした。
 
 何故私がわからないのでしょうか。
 
 それは近すぎるからです。私たちの目はいろいろなものを見ることができます。今目の前で読んでいる本文も、夜空に映える名月も、近いものや遠いものはよく見えます。ところが、目の直ぐ隣にある眉や顔が直接見られない。あまりにも近すぎるからですね。
 
「目、目を見ることあたわず」
「刀、刀を切ることあたわず」
 
 どんなに視力のいい人でも、自分の目を直接見ることはできない。どんな名刀も、その刀自身を斬ることは不可能です。
 
 では近すぎる自己を見るにはどうすればいいのか。私たちは鏡を使います。古来、自己を知る鏡に、「他人鏡」「自身鏡」「法鏡」の三枚あると仏教では教えています。
 
 「他人鏡」。これは他人の目に映る私の姿です。皆さんは他人の言葉に一喜一憂し振り回されてはいませんか?人は誰もがその時の自分の都合で他人を評価しますから、同じ人間が善人にも悪人にもなるの

です。
 

今日ほめて
明日悪くいう
人の口
泣くも笑うも
うその世の中
 
         一休宗純

 
 「自身鏡」。道徳心であり自己反省のことです。人間は自分のことはなんでも美化する習性があります。自惚れが私たちの本性です。「一日三省」というように、自己を振り返ることは大切です。
 
 他人鏡は都合で曲がり、自分鏡は欲目で曲がる。一体、「ありのままの私」を映してくれる真実の鏡はどこにあるのでしょうか。
 
 お釈迦さまは「仏教は法鏡なり。汝らに法鏡を授ける」と遺言なされました。「法」とは、真実であり、三世十方を貫くもの、三世とは、過去・現在・未来で、「いつでも」、十方とは、東西南北上下四維で、「どこでも」ということで、時代や場所に左右されず、いつでもどこでも変わらないものだけを法といいます。
 
 仏法を聞けば、今まで気づかなかった自己が見えてきます。大切なのは自分をそのまま見ることです。
 
                                               合掌
 

裏をみせ
表を見せて
散る紅葉
 
         良寛
 
                                               釈 正輪 拜


Source: 釈正輪メールマガジン

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