源氏物語(2016年4月5日)

晴明の候。
草木が青々と芽吹き、生命が輝く季節の到来です。
春は空がぼんやりして遠くがみえにくくなる「霞」がたちこめることがあります。夜になるとそのぼんやりは「朧」という表現に変わります。

春の夜に月がほのかに霞んでいる情景を「朧月」などと言いますが、日本人の風情を表す言葉のなんと巧みなことか。日本人に生まれてつくづく良かったと思います。

大原や蝶の出て 舞ふ朧月

丈艸 (じょうそう)

ところで、『源氏物語』には、「朧月夜の君」と呼ばれる女性が登場します。ある春の夜、光源氏が朧月の風情に誘われるまま、後宮に忍び込むと、偶然艶やかな声で、「朧月夜に似るもぞなき」と口ずさみながらやってくる、美しい女性と出会います。

やがて二人は激しい恋に落ちますが、実は彼女は敵対する右大臣家の6番目の娘で、さらには光源氏の兄(朱雀帝・光源氏の異母兄)である東宮との結婚が約束されていました。いわゆる日本版ロミオとジュリエットといったところでしょうか。春の朧月夜の優しい風情は、危険な恋と隣り合わせだったのです。

この日本が世界に誇る古典『源氏物語』の根底には、随所に仏教思想が込められており、宮廷の物語から人間の本性を巧妙に描きだしています。光源氏を取り巻く数多の女たちが、人生の苦難に翻弄されながら、やがて自分を愛してくれた男たちや、肉親ともきっぱり別れ、阿弥陀佛に帰依し、仏法一つに生きる覚悟を固める姿などの描写は、仏法を深く学んでいた紫式部だからこそ紡ぎだせたのでしょう。

合掌

いずくとも 身をやるかたの 知られねば
うしと見つつも ながらうるかな

「どこに向かって生きればいいのかわからず、つらいと思いつつも生き永らえているだけです」

紫式部愛用集「往生要集より・源信僧都」

開催時の様子を動画で紹介

2019年1月16日「価値観の多様性」

2019年1月16日「改めて思う仏教の大切さ」

2019年1月16日「人というのは何者なのか?」

2018年8月9日「私という人間を認めてくださる方に出会うか否か」

2018年8月9日「お坊さんの役割」

2018年8月9日「歴史にはいろんな考え方がある」

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