釈正輪講和会

歴史、伝統、文化をお伝えしながら皆さんの生活にお役に立てる様、学び活かしていける講話会を開催しています。

悪口(2016年2月9日)

立春の候。立春とは、冬と春を分ける節目の日です。この頃になると、大地だけではなく、風や空気にも春の兆しを感じます。旧暦では、ここがお正月とされていました。

立春の早朝、禅寺では、山門に「立春大吉」と書いた紙を貼ります。これは、この文字を縦書きにすると、左右対称になるので厄除けになり、一年間災難にあわないといいます。

ならさかの いしのほとけの おとがひに
こさめながるる はるはきにけり

会津八一

ところで最近頓に人を批判する悪口をよく耳にします。身近な人はもとより、芸能人や政治家への風評には、本当にこれでよいのか?と思うことも多々あります。ネット社会の蔓延が導いた功罪でもありましょうが、一方通行の情報には危惧を感じてなりません。

古来、「好事門を出でず、悪事千里を行く」といい、よい評判は広がりにくいが、悪い噂は何処までも伝わっていくといわれます。皆、誰かの悪評が好物だから「人の口に戸は立てられぬ」のでしょう。

お釈迦さまは、私たちが口で造る悪を「綺語」「両舌」「悪口」「妄語」の四とおり教えられています。フィンランドの脳神経学者が、千四百人以上の七十歳前後の人たちに、普段どれくらい人の噂話や批判、意地悪な態度を執っているか、を調査したところ、ゴシップ好きは、そうでない人の三倍も、認知症の危険性が高く、老化などを早める等、脳に大変なダメージを与えるそうです。

他人の悪口や悪評を絶えず言う輩は、やがて周囲から疎まれ嫌われ孤立します。眉間にはシワか刻まれて、人相まで悪くなるのです。その悪影響は、自分のみならず周囲にも波及し、マイナス発言を聞かされた人は、多大なストレスを受け、悪口を吹聴すれば、自分の信用も失います。

陰口のある集団は、確実に人間関係が壊れて行きます。家庭なら、子供の成長に良くはありません。悪口は、関わった人のやる気や生きる力を奪います。向上を願っての叱咤激励とはまるで違うのです。悪口は「百害あって一利なし」です。誰も幸せにならない自損損他の言動です。人が陰口を言っていたら、決して同調してはいけません。合わせないと自分も悪く言われると恐れる人もありましょうが、軽々しくそんな会話に加われば、自身が傷つきます。大切な人生をくだらない事で浪費しないでください。

合掌

悪をこのまん人には慎みて遠ざかれ、近づくべからず。とこそ説かれて候え

末灯鈔・親鸞上人

常には我が前にては言わずして、蔭に後ろ言いうとて腹立する事なり。我はさように存ぜず候。我が前にて申しにくくば、蔭にてなりとも我が後ろ言を申されよ。聞きて心中を直すべき。

御一代記聞書・蓮如上人

通常は陰口を言われれば腹を立てるもの。だが蓮如はそうは思わない。面前で言いにくければ、陰口にでも言ってもらいたい。聞いて心掛けを正そう。

釈 正輪 拜

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