釈正輪講和会

歴史、伝統、文化をお伝えしながら皆さんの生活にお役に立てる様、学び活かしていける講話会を開催しています。

至高の喜び(2016年1月26日)

大寒波襲来に日本列島が震えています。奄美地方の一部地域では、百数十年ぶりの雪の観測もありました。近年の日本人は、雪に慣れていないこともあり、各地で災害や事故などの対処におわれています。まだまだ予断をゆるさない天候です。皆さんもどうぞお気をつけてください。

今の時節に「春隣(はるとなり)」という言葉がありますが、寒さがこたえる真冬の時期にも、かすかな春の予兆が感じられます。冬至を過ぎ、どんなに寒さが厳しい日でも、太陽の光は強さを増して、陽射しは、一日に畳の目一つ分ほど伸びていきます。

ひと口を 残すおかはり 春隣

麻里伊

ところで、このころになると茶人たちは、「夜咄(よばなし)」の茶事を催します。

しんしんと冷え込み、雪も降るような冬の夜に、親しい客を招き、暖かみと温もりの「おもてなし」を致します。

炉には時折、ぱちぱちと音をたてながら炭火が赤々と燃え、釜の湯はしゅんしゅんと沸いています。そこで手燭や燭台のゆれる灯火を風情に、茶を介して尽きない話しを楽しみます。「冬は暖に、夏は涼しく」という茶の湯の心づかい、何と粋なはからいでしょうか。

湖氷る 大きな朝に あひにけり

加藤楸邨

これは消防官として奉職している長男から聞いた話です。

レスキュー隊として動員される我々は、「人命は地球より重い」を原則に、一人の遭難者でも全力で助けに向かうと言うのです。危険と隣り合わせな状況でも、命懸けの働きができるのは、救助した方々から、感謝の言葉を頂く、そんな些細なことが自分たちの喜びと活力になると言うのです。

確かに私たちは、人の何気無い言葉や行動に喜びを感じます。ということは逆に、人は誰かのためになりたいと心の中で思っているのです。

人間の喜びとは一体なんでしょう。お金をいっぱい持っていることでしょうか。地位があることでしょうか。其れ等は物欲を満たすことにはなりますが、魂の歓喜にはなりません。人間の、いや、生きとし生けるものの至高の喜びとは、『他が為に生きる』ことなのです。人の笑顔を見る、そんな些細なことで私たちは生きていけるのです。

合掌

釈 正輪 拜

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