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釈正輪回顧録 9. 孤独1

釈正輪回顧録 9. 孤独1

修行も二年目に入ると体がきついということもなくなったが、今度はどうしようもなく人恋しさが募ってきた。

深夜に登頂を始め、下山をするのは昼頃。山の中で出会うのは動物たちだけだ。

不動の岩屋にいるマムシたちに対しても、次第に情がわいてくる。 私は里から生卵を持ってきて、岩屋の中におくようになった。翌日にはその卵は消えていた。マムシ達には縄張りがあるらしく、最初に私が卵を一つだけ置いた場所には体の大きなマムシが居座るようになった。

私はそれから三匹のマムシのために三個の卵を持ってくるようになった。するとしばらくしてマムシの数は四匹になった。彼らは声を出さないが、明らかにお互いの意思の疎通をしていることもわかった。四匹のマムシに卵を運んでいると、マムシの数は更に増え、五匹になった。私は体の小さなマムシのために、鶏の卵とは別にうずらの卵を用意した。

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