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釈正輪回顧録 7.夏の光1

釈正輪回顧録 7.夏の光1

高賀山での夏のご来光は五時半だ。
東の空から西に流れる雲の端が明るく輝き始めると、私は山頂から少し降ったところにある天狗岩に登って法螺貝を吹いた。
登ってくる太陽に向かって三礼をして護身法を切る。
「いらたか」とよばれる算盤玉の形をした念珠をすり合わせた。
錫杖(しゃくじょう)を振りながら、懺悔文、開経偈(かいきょうげ)、般若心経を三巻読み、回向文(えこうぶん)を唱え、消災呪(しょうさいしゅう)、大悲呪(だいひしゅう)を一巻読み、ふたたび回向文を唱えた。
次に太陽に向かって大日如来の真言を二十一回唱え、北に向かって釈迦如来の真言を十七回、東に向かって薬師如来の真言を十七回、南に向かって阿閦如来(あしゅくにょらい)の真言を七回、西に向かって阿弥陀如来の真言を七回唱える。
それから光明真言(こうみょうしんごん)を二十一回唱え、本覚讃(ほんがくさん)を一遍、四弘誓願文(しくせいがんもん)を三遍唱え、「願わくはこの功徳をもってあまねく一切に及ぼしわれら衆生とみなともに仏道を成ぜんことを」と回向文を唱えた後、法螺貝を吹き、太陽にむかって再び三礼をした。
それから腰をおろして、お供えしてあったそば粉の団子とこうせん粉の団子を食し、水筒に入れてきた熱いお茶を飲んだ。

早朝の山頂は涼しくて心地よい。
東の方角には御嶽山が見える。西には伊吹山、南の方角には白々ヶ峰が連なり、北の方角には蕪山が間近に見える。山の自然にもすっかり親しんできた。

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